それは親戚のおばさんの希望だった。
「本人も苦しいでしょうから—」と言って。
僕も見るに耐えられ無かった。
医者が時刻を読み上げた。
アニメじゃない。ドラマでもない。
現実だ。リアルだ。
ばあちゃんの死因は不明。
「股関節に器具をはめる手術でなぜ死んだ」みんな思っていた。
病院側も、我々も。
死因特定の為解剖をしてもらうことにした。
待合室でただ待つ。
死んでしまったのに病床に置いとく訳にもいかない。
時計を見ると母さんと喧嘩して家を出て、戻って3時間ぐらいしかたってなかった。
劇的過ぎる変化だ。
病室に置いてあったばあちゃんの遺品が運ばれてきた。
その中のスケジュール帳を手にとり開いた。
どうやら我々と同じく本人も死ぬとは思っていなかったようだ。
遺書なんて無いだろう。
いとこのばあちゃんに送った手紙も見つけた。
現実味がしてきた。
涙が流れそうになる。
だが、泣いても良くなる訳でも無いのでこらえる。
しばらくして一階に呼ばれる。
霊安室というのに初めて入った。
楽しくない場所だな。
ばあちゃんは肩を叩いて呼んだら起きてきそうな顔をしていた。
こんなにちっちゃかっただろうか?
霊安室は寒かった。それだけの冷房が効いていた。
しばらくして葬儀屋が来た。
とりあえず遺体を葬儀屋で保管して明日…日付的には今日解剖するらしい。
葬儀屋にばあちゃんが運ばれていった。
僕達は家に帰った。
「こんな…訳わかんねえよ」
帰ってからケータイを開いてみた。
KAGOMEから
『明日ネバランに蛍光灯と行くけど来る?』
というメールが来ていた。
彼は日常をおくっていた。
普段ですら羨ましい彼の日常は更に輝いて見えた。
mixiも覗いてみた。
みんないつもの日常をおくっていた。
「それでも世界は廻っているんだな…」
今週金曜日ににインドたちと焼き肉の予定があったなぁ、日曜はボイラーの試験だったか。
どうなんだろう。
インターンシップ行けるかなぁ。
バイトしばらく休まなきゃな…
落ち着いてきたら関係ないことばかり頭に浮かんできたよ…
とりあえず寝て備えよう。
そして今朝、学校に電話をかけてみたが担任が席を外していた。
「役にたたねぇ担任だな」
昼から解剖という事なので学校の電話を諦め、病院に向かった。

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