廊下には自分の足音しか響かない。
そんなにみんなマイハウスが好きなのか?ホームルーム前の廊下だというのに。
静寂の中、私は右にあった階段をゆっくりと登る。
「…ここですね」
私は、不安を胸にボランティア部の戸を開いた。
県立夢ヶ丘高校。
ここの部活数はあと3つ程でギネスに載るらしいぐらい部活がある。
その中でも校内でも有名なのが『ボランティア部』だった。
この部活、ボランティアとは名ばかりで実質は便利屋。
更にクセだらけのメンバー。
何故私がそんな所にって?
それは頼み事があったからだ—
ボランティア部とマジックペンで書かれたドアを開ける。
書いちゃだめでしょう。
「あっ、お客さん?おーい!会長!お客さん!」
威勢のいい声で高校生とは思えない小ささの少年が、奥で皿回し(?)の練習をしていた長身の男を呼ぶ。
「おっ…依頼箱じゃないのは久々だねえ。ま、座ってよ。」
この皿回し練習中の男は美化環境委員会の会長、淀川優介だ。
ウチの学校の会長と言うと、生徒会長より先にこちらが出る。
そしてこの小さい方が上田獸兵衛。
彼の両親はとんでもないネーミングセンスだと思うが、本人はかなりこの名前を気に入っている。
それでかわからんが、虎の敷物をそのまま被り物にしたみたいなヤツ(犬バージョン?)を被っている。
今は…教室に忘れているらしい。
まあ、目立つ忘れ物だから噂がすぐに広まる。
話を戻す。
ボランティア部への依頼方法は2つある。
依頼が受けてもらえるかは部員の気分次第で、記入した専用の紙を依頼箱に入れて依頼する方法。
確実に依頼を受けてもらえるが、依頼料が発生する方法。俗に『依頼箱じゃない方』と呼ばれる。
誰に言ってんだろう?これ。
「で、どんな依頼?」
「探し物です。財布を無くしまして。」
「うし、財布だな!どんな財布だ?」
財布の特徴、中身をあれこれ聞いてきた。
だけど、気になることがある。
「えっと、お代はいつ…」
「ウチは出来高制だから。終わったらでいいよ。」
…考えてみればこれは商売じゃないのか?
「あとすみません、捜索に同行しても良いでしょうか?」
「…何で?」
「いや、どういう活動をしてるのか気になりまして。」
少しの間、使い道の不明な道具で埋もれた部室が静寂につつまれた。
「…まあ、いいぜ。」
早速、捜索が始まった。

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